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ファッションデザイナーが思う「毛皮とサステナビリティ」の話

こんにちは、久保です。
今回も「ファッションデザイナーが思う『サステナビリティ』の話」シリーズです。今回は、毛皮について語ってみたいと思います。

まだファッションデザイナーとして駆け出しだった頃から、yoshiokuboでもmuller of yoshiokuboでも、ファーを使ったアイテムをいくつも提案してきました。当時は馴染みの取引業社もいて、その会社のビルにお邪魔すると、ありとあらゆるファーが所狭しと並んでいたのを覚えています。

ファーについて考えるきっかけをもらったのは、憧れのデザイナーのひとり、ジョルジオ・アルマーニ氏と対面した時のこと。アルマーニの支援でミラノ・コレクションに挑戦する機会を得たのですが、その期間中、アルマーニ氏が降臨して僕の発表したコレクションを手に取りながら見ていたんです!

僕たちにとっては伝説の人物なので、彼を間近にして驚くやら放心するやら、天にも昇る心地でした。一着一着、求められるままにコンセプトなどを英語で説明していると、ある服の前でピリッとした雰囲気が漂いました。通訳とイタリア語で何やら話しているのですが、どうも穏やかな様子ではなく…。
聞くと、「うちはリアルファーの使用を止めると宣言したところだ。君はまだ使っているのか!?」と言っているとのこと。当時の自分にはなかなか衝撃的な出来事でした。
参考記事:ビビった話シリーズ#1

それから十数年後。ドイツのとある生地メーカーが、ベースになる生地に1本1本まるで植毛のようにウールを植え付けてつくったエコファーを発表しているのを見ました。これは本当に驚きで、実際に触ると、手触りはもう本当にリアルファーなんです! 

よく考えれば、毛皮って皮膚から毛が生えている、という構造なのだから、このメーカーのアプローチはきっと「ひとつの解」なのでしょう。この斬新な発想によって、今まさに問題視されている「毛皮を得るためだけに大量に動物を飼育し、毛皮を得るためだけに動物を殺して皮を剥ぐ」というあり方も解決されるように思いますし、このイノベーションをきっかけに新しい技術や機械の発達に繋がっていくのかもしれません。そうした意味で、とても興味深いと思っています。

一方で、これまで世の中に流通した毛皮についてどうするか? 古着のメンテナンスはどうするのか? といったことも考える必要があるのだと感じています。「しっかりと考え尽くして丁寧に作り上げた唯一無二とも言える一着を、簡単に“消費”されることなくずっと長く愛着をもって着続けてもらえるようにする」という気持ちで作った洋服の一部として毛皮が使われているなら、それはメンテナンスしたりアップサイクルなりして着続けてもらった方がいい。そんなことを考えています。

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